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- 中島かおり道 第一章 《美白のミューズ、中島香里のルーツを探して》
「美白の女神(ミューズ)」「美白大臣」「TV通販の女王」と呼ばれる中島香里。
しかし、香里が香里になるまでに波乱万丈のドラマがあった――!
怒濤の半生を全24回でお届けします!
女優?それともセレブタレント?
「つるりんこん!」
本を読みながら、なんとなく付けたテレビから、こんなフレーズが聞こえてきてハッとした。
「つるりんこん!」
思わずテレビを見てしまった。
妙に耳に残るそのフレーズを、これまたなんとも印象に残るハッピーオーラ全開で、一人の女性が笑顔で告げている。
「私が証明です!」
なんなんだ? この女性は! 年齢は不詳。お肌は白いのに、血色がよくてツヤツヤ。
笑顔がめっぽう華やかで、語り口が自信にあふれていて、妙に人の心を惹きつけるのだ。
女優か、セレブタレントか?
この説得力! これが「カリスマ」ってヤツなの?
「美白のミューズ」中島香里
「つるりんこん!」のインパクトがあまりに大きくて、調べてみると、いろいろなことがわかってきた。
「つるりんこん!」と言いながら、手にした美白化粧品を説明していた女性こそが、
「美白のミューズ」「美白大臣」と呼ばれる美容家、中島香里その人だった。
雑誌やテレビによく登場しているのも納得した。
化粧品を販売する会社クリスタルジェミーの社長でもあるのだから。
美容界には、多額の資金を投入してマスコミで大宣伝をし、ヒット商品を作り上げることなんて日常茶飯事。
彼女の会社もその種の方法を使っているのだと思った。
事実がそんな想像とはまったく違っていたことには、後から気づくことになるのだが、今は話を進めよう。
すっぴんで「ショップチャンネル」へ
面白いのはそこから先だった。
中島香里の自社製品の宣伝のしかたが、業界のセオリーを無視した型破りなものだった。
あろうことか彼女は、テレビの通販番組「ショップチャンネル」にすっぴんで登場し、「私が証明です!」と言ってのけたというのだ。
「ショップチャンネル」は生放送で進められるのだというから、現場のスタッフたちはさぞ、焦ったに違いない。
でも、その「私が証明です!」のひと言が、女性たちに電話を握らせ、爆発的なヒットに結びついたのだという。
それが「中島香里伝説」のひとつだった。
そして、その伝説は一つや二つではないらしい。
「中島香里って、いったい何者なの?」
彼女自身にすっかり興味をもった私は、彼女のイベントに出かけてみることにした。
会場には、中島香里風のファッションとメイクをした、ファンとおぼしき女性たちがたくさんいる。
思わず彼女たちをつかまえ、「取材なんですが…」と、リサーチを始めていた。
中島香里とは何者なのか?
気になっていたこと、「中島香里はどんな人なのか?」を訊いてみた。
われ先にと、みんな、自分のことのように語り出す。そのほとんどが、意外な答えばかりだった。
「香里先生って、あんなにきらびやかなのに、すごくあたたかいんですよ」
「自分は何もしないで、セレブな生活してるみたいに見えるでしょう?違うんですよ。
家に帰ったら、パッと切り替えて、スーパー主婦になっちゃうんです。あたしたちと同じなんです」
「すごくご苦労をされているんですよ。演歌歌手のように、全国を回ったりされて、商品を宣伝してきたんです」
「クリスタルジェミーって一度は倒産しかけたんですよ。それを建て直したのが香里さんなんです」
すこしずつわかってきた。
中島香里が、美容家としての「伝説」をたくさんもっていること。そして、「つるりんこん!」と「私が証明です!」の言葉の後ろには、普通の主婦たちを共感させずにはおかない、いくつもの「物語」をもっていること。
彼女の伝説と物語を知りたい。そして、たくさんの人に知ってもらいたい。中島香里が何者なのかということを…。
そうして始まったのが、この「中島かおり道~私はこうして私になった~ 」である。