──あの人は歳を取ってもさらに肌がきれいになっていく。
香里を見て「私も使ってみようかしら」と思ってくれるお客さまが日を追うごとに増す中、あらためて香里は広告塔"美のカリスマ"として生きてゆく覚悟を決めたという。
その覚悟の中には、こんなエピソードがある。
「私が広告塔でコストカットよ!」
社長としての香里は、もっとシビアなことを考えていた。
自らが広告塔となることで、広告宣伝費を少しでもカットしようというのだ。
だが、本当の目的は単なるコストカットだけではなく…
「本当に良い商品をつくるために!」
少しでも良い物をお客さまに届けたいという"社長としての香里"が"広告塔としての香里"を生み出す後押しをしていたのだった。
ほどなくして"中島香里"を本格的な広告塔として売り出すため、夫を中心に「チーム香里」が結成された。
「チーム香里」は様々な雑誌取材を受け、露出を少しずつ増やしていき、計画的に認知度を高めていった。
そしてついにクリスタルジェミー初のテレビCMを作ることに!
テレビCMはたった数十秒の映像……
けれどその数十秒で商品の魅力を伝えるためには、徹底的な分析と戦略が必要だった。
「どんなキャッチコピーがいいかな」
「CMの構成はどうする?」
「それじゃインパクトが弱いよ!」
「衣装とセットは……!?」
「それよりシナリオを練り直そう!」
クリスタルジェミー初のCMのために夜通し会議が重ねられた。
撮影にかかったのはなんとまる二日間!
ほぼアドリブで展開するテレビ通販番組と違い、テレビCMは1秒ごとに構成が決められている。
その短い数十秒の中で、何を伝えるのか…考え抜かれた答があのセリフである!
「私が証明です!」
たったひと言。透き通るような白肌を持つ華やかな女性が自信満々で「私が証明です!」と商品をお勧めしているCMのインパクトは凄まじく、大反響を呼んだ。
そして……
香里のタレント性に目をつけたテレビ局や出版社から、出演依頼が殺到した。
「女性週刊誌の取材は積極的にお受けしてね!」
「チーム香里」はたくさんの出演依頼の中でも、特にクリスタルジェミーのお客さまと読者層が重なる女性誌からの取材依頼を率先して受けるようにした。
ただでさえ超多忙だった香里は分刻みで時間を削りながら怒涛のスケジュールをこなしていった。
香里の波乱万丈な半生を取り上げたトーク番組や、女性誌の美容コラム、バラエティ番組のゲストコメンテーターなどなど。
香里を取り上げるメディアは好調な視聴率を記録したという。
化粧品に興味がある女性以外にも、
中島香里
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私が証明です!
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美白 すっぴん
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クリスタルジェミー
というイメージが定着した。
「もしかして中島香里さんですか?」
「一緒に写真を撮ってもらってもいいですか?」
と香里は街ゆく人から声をかけられる存在になっていた。
これが香里の幸福なお嬢さま時代から「美白の女神(ミューズ)」と称えられるまでに至る「中島香里物語」である。
しかし香里の物語はまだまだ終わらない──!!